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DOUBLE CLOTH BY KUZURI KEORI

10/07/2013
DOUBLE CLOTH 1913-0024

今季リリースされたMAXIM COLLECTIONのDOUBLE CLOTH(ダブルクロス)。詳しくは>こちら
弊社では珍しい国産服地ですが、織元である葛利毛織さんは実は近年アパレル業界で注目を集めています。



工場外観

明治末期(!)の創業以来、日本の毛織物の一大産地である尾州でも特に「クオリティーの高い生地を」生産することで知られてきた同社。ドラマ「官僚の夏」などでも舞台になった趣のある社屋も有名ですが、葛利さんが特別な理由は実は他にあります。


ションヘル織機

そう、ご存じの方も多いかと思いますが、葛利さんの生地は基本的に全てシャトル式のションヘル織機で織り上げられています。私の知る限りでは、このようなメーカーは世界中探しても他に類を見ません。
木製のシャトル(=杼 ひ)を使用するこちらの織機はすでに50年以上前に生産が終了しており、大量生産ができずメンテナンスにも手間がかかる為、現在は英国の一部の工場で同タイプの織機がサンプル生地用にごく僅か稼働しているにすぎません。

昨年同社のお邪魔した際、社長さんにこの織機にこだわる理由をお聞きしました。
曰く、「この織機を使うと大変な手間と時間がかかるが、経緯(縦横)の糸がしっかりとからまった立体的でふくらみのある昔ながらの風合いを出すことができる」とのことでした。
弊社では国産のオリジナルラインMAXIM-COLLECTION生地の生産を長年お願いしてきましたが、「風合いと仕立て上がりがいい」と確かにテーラーさんからの評価は非常に高いものがありました。
ファストファッション全盛の今だからこそ、手間暇を惜しまずクオリティーに拘ったモノづくりが見直されてきているのかも知れません。。。
#先月末に放送された、NHK(Eテレ)「美の壺」でも同社工場の生産風景が紹介されました!



鋸屋根

紳士服地の聖地英国ハダスフィールドでさえ、昔ながらの織物工場は減少を続ける一方ですが、我がニッポンの一宮でこのようなモノづくりが残っているのは、昨年遅ればせながら初めてお邪魔して大きな驚きでした。
創業当初よりの社屋もやはり圧巻で、自然光を少しでも多く取り入れるための鋸屋根は当時の主流だったそうです。





希少なダブルクロス織、クラシックな色柄、そしてションヘル織機でこそ実現した豊かな風合い。
まさに「現代のビンテージ生地」といえる“DOUBLE CLOTH BY KUZURI KEORI”は、「長年愛用できる一着」に是非お勧めしたいマテリアルです。