la mode europeénne sélectionné pour vous

MR. JAMES DUNSFORD

10/28/2013
大阪にて

先週の1週間、英国を代表するファミリーマーチャント LBD-HARRISONSの社長であるジェームス・ダンスフォード氏が来日しました。
今年150周年を迎えたメインブランド HARRISONSの祝賀レセプションのため4月に来日して以来、久々の日本となりました。
九州、関西、東海、東京と、出来る限り多くのお取引先様にお邪魔し情報交換などをさせていただきましたが、最近すっかりデスクワーク漬けになってしまっている私にとっても貴重な機会となりました。


心斎橋の屋上バーで

日中はひたすら仕事ですが、移動中や夜一杯飲りながら話すのも打ち合わせ代わりの大切な時間。時には親しいお取引先様に飛び入りで参加していただくこともあります。
「創業150周年の高級服地ブランドの社長」というと堅いイメージがあるかも知れませんが、明るくウィットに富み、だれとでもすぐに打ち解けてしまう同氏のキャラクターの為、日本にも多くの友人ができました。


HALLOWEEN PARTY

ブランドの150周年という大きな節目となった本年、4月の祝賀レセプションや数々の記念企画などお陰さまで大変充実した年になりました。
日本最後の夜は、親しいお取引先様やレセプションでお世話になったブランド様などをお招きしてのハロウィーンパーティー!
美味しいお酒・料理、そして愉しい会話でアットホームかつリラックスした夜になりました。
(英国ファッション・カルチャーの第一人者として知られるジャーナリスト 長谷川喜美さんもお忙しいなか駆けつけていただき、ロンドン ビスポーク業界の最新事情の話などで盛り上がりました)

来年に向けても、HARRISONSでは様々な商品、企画をご用意しておりますので、ぜひお楽しみに!!




SAVILE ROW

10/15/2013


日本はようやく秋めいてきたと思ったら先週末の猛暑、そして台風と慌ただしい気候ですが、今回は先月の欧州出張の続きを書かせていただきたいと思います。
9月の下旬に訪れたロンドンは、前週の寒波が去り暑すぎず・寒すぎずの(ちょうど今日の東京のような)「典型的なロンドンの9月」といった天気でした。
市場調査と少しのリラックスを兼ねて、徒歩と自転車(公営レンタサイクル)でウェストエンドを廻ってきました!

GIEVES & HAWKES エントランス

やはりまず足が向くのは紳士服の聖地、SAVILE ROW。
土曜の午後だったので既製服なども扱う規模の大きなテーラーしか開いていませんでしたが、驚いたのが1番地の名門GIEVES & HAWKES(ギーブス&ホークス)。
素晴らしい店構えとクラシックとモダンが融合したゴージャスな売り場は相変わらずでしたが、2月に訪問した時に案内していただいた“BARBER & GROOMING”と“BESPOKE SHOES”のコーナーが無い!?
(メインエントランス横でもう一つのエントランスに通じていたこのエリアは、他のテナントの入居予定の看板が。。。)
ショップスタッフに聞いてみると、数か月前にこのスペースにあった3つのコーナー(上記2つに加え、アンティークの販売コーナー)は閉鎖されたとのこと。
確かにSAVILE ROWのテーラーらしからぬ新しい試みではありましたが、モダンブリティッシュを具現化したような洗練されたサロンだったので残念です。。。
2月の訪問の記事は>こちら


HENRY POOLE

今年はHARRISONSの150周年記念レセプション(東京)でもお世話になった、SAVILE ROW最古の名門HENRY POOLE(ヘンリープール)。
今回は挨拶ができませんでしたが、いつもながら重厚なウィンドーディスプレーを愉しみます。


RICHARD ANDERSON

名門HUNTSMAN(ハンツマン)出身のカッタ―で、13番地に店舗を構えるRICHARD ANDERSON(リチャード・アンダーソン)。
若手らしいモダンな感覚は、季節感を上手く取り入れたディスプレーにも表れています。

ロンドンは週末の滞在が多いのでサヴィル・ロウの友人達になかなか会うことができないのですが、ウィンドーを眺める週末も割と好きだったりします。。。

DOUBLE CLOTH BY KUZURI KEORI

10/07/2013
DOUBLE CLOTH 1913-0024

今季リリースされたMAXIM COLLECTIONのDOUBLE CLOTH(ダブルクロス)。詳しくは>こちら
弊社では珍しい国産服地ですが、織元である葛利毛織さんは実は近年アパレル業界で注目を集めています。



工場外観

明治末期(!)の創業以来、日本の毛織物の一大産地である尾州でも特に「クオリティーの高い生地を」生産することで知られてきた同社。ドラマ「官僚の夏」などでも舞台になった趣のある社屋も有名ですが、葛利さんが特別な理由は実は他にあります。


ションヘル織機

そう、ご存じの方も多いかと思いますが、葛利さんの生地は基本的に全てシャトル式のションヘル織機で織り上げられています。私の知る限りでは、このようなメーカーは世界中探しても他に類を見ません。
木製のシャトル(=杼 ひ)を使用するこちらの織機はすでに50年以上前に生産が終了しており、大量生産ができずメンテナンスにも手間がかかる為、現在は英国の一部の工場で同タイプの織機がサンプル生地用にごく僅か稼働しているにすぎません。

昨年同社のお邪魔した際、社長さんにこの織機にこだわる理由をお聞きしました。
曰く、「この織機を使うと大変な手間と時間がかかるが、経緯(縦横)の糸がしっかりとからまった立体的でふくらみのある昔ながらの風合いを出すことができる」とのことでした。
弊社では国産のオリジナルラインMAXIM-COLLECTION生地の生産を長年お願いしてきましたが、「風合いと仕立て上がりがいい」と確かにテーラーさんからの評価は非常に高いものがありました。
ファストファッション全盛の今だからこそ、手間暇を惜しまずクオリティーに拘ったモノづくりが見直されてきているのかも知れません。。。
#先月末に放送された、NHK(Eテレ)「美の壺」でも同社工場の生産風景が紹介されました!



鋸屋根

紳士服地の聖地英国ハダスフィールドでさえ、昔ながらの織物工場は減少を続ける一方ですが、我がニッポンの一宮でこのようなモノづくりが残っているのは、昨年遅ればせながら初めてお邪魔して大きな驚きでした。
創業当初よりの社屋もやはり圧巻で、自然光を少しでも多く取り入れるための鋸屋根は当時の主流だったそうです。





希少なダブルクロス織、クラシックな色柄、そしてションヘル織機でこそ実現した豊かな風合い。
まさに「現代のビンテージ生地」といえる“DOUBLE CLOTH BY KUZURI KEORI”は、「長年愛用できる一着」に是非お勧めしたいマテリアルです。





VITALE BARBERIS CANONICO

10/01/2013


欧州出張から先週戻ってきました。
出張先の話題を幾つかお届けしたいと思います。
まずは5年ぶり2回目の訪問となったイタリアを代表するミルの一つ、VITALE BARBERIS CANONICO(ヴィターレ・バルべリス・カノニコ/以下 カノニコ)の様子です。

ミラノから車で約90分の町、ビエッラ近郊のトリヴェロ地区に広大な工場を擁する同社は、なんとそのルーツを1663年まで遡る名門中の名門。
紡績から仕上げまでその全ての行程を自社で行い、年間800万メーターという膨大な量の高級紳士服地を生産しています。これはスーツに換算すると、約270万着という数になります。
上写真はシリコンバレーのIT企業に明るく開放的な、同社のオフィス棟の中心に位置する中庭。
素晴らしいオフィス環境を見るだけでこの会社の先進性やクリエイティビティーが伝わってきます。


特注のカバー付きルーム(織機)

久しぶりの訪問だったので、ミーティングの合間に工場見学をさせていただきました。
以前にも書かせていただきましたが、同社の織機には全てカバーが付けられており、動作中はカバーが閉じるようになっています。
これは従業員の聴力を守るため(織機の動作音はもの凄く大きいのです!)に特注されたもので、未だにこちらにしかないそうです。


ウェットフィニッシング


こちらはウェットフィニッシングの機械。
様々なクオリティーに合わせた入念な仕上げが行われます。


パーチング

最終の検品工程“パーチング”では、キズや色ムラ、異物混入などが無いか厳しくチェックされます。英国のミルではせいぜい3,4台ですが、こちらでは明るい窓際に作業台がズラリと並んでいて壮観です。

先端の機械を使いながら、工場内の湿度を80%に保つなどクオリティー最優先のモノづくりにこだわるカノニコ。工場を見ると、そのメーカーのフィロソフィーがよく分かります。。。




最後に、こちらの雑誌はイタリアで有名な音楽雑誌ROLLING STONE(2013年6月号)。
付録のかわいいギターのマスコットは、なんとカノニコのフランネルで作られています!
フェラーリ(シートのビスポーク用)へのファブリック提供など、プロモーションにも積極的な同社ですが、特に14代目のフランチェスコ氏がクリエイティブ・ディレクターに就任してからは非常にアクティブ。




この号では、6ページに亘り同社の歴史やモノづくりが紹介されていました。
(右上写真のサングラス姿がフランチェスコ・バルベリス・カノニコ氏)
フランチェスコ氏には夕食にもご招待いただき、ファッションやビジネス談義をしたりビエッラの夜は大変充実したものになりました!