la mode europeénne sélectionné pour vous

A CARACENI

12/24/2013


先日のイタリア(ミラノ)出張は実質滞在1日というかつてなく短いスケジュールでしたが、夜のレセプション出席の前に実現したのが名門サルトリアとして名高い A CARACENI(A カラチェニ)の訪問でした。

まだ服地業界に入ったばかりの頃、HARRISONSの計らいで一度お邪魔したことがありましたが、約10年ぶりの再訪。イタリア政財界人の多くに愛されてきた名店だけにやはり緊張します。
サヴィル・ロウのテーラーと違い喧騒から少し離れた通りのビルの2階にあり、小さな看板が目印です。




水曜日の15時頃(昼休みの後)お邪魔したのですが、次から次へと顧客がオーダーや出来上がりスーツのピックアップに訪れる光景には驚かされました。
先に工房を拝見することに。
裁断は現社長のカルロ氏と、息子で5代目にあたるマッシミリアーノ氏の二人で行っているそうですが、接客で時間を取られることもありいつも大忙しとのことでした。




実はこの夜に開催されたCANONICOの350周年記念レセプションにはA CARACENIの社長&Jr.も招かれていました。
CANONICOの14代目(現クリエイティブ・ディレクター)フランチェスコ氏は親の代からの顧客であり、(CANONICOの傘下である服地マーチャント)DRAPPERSを通じてCANONICO服地を扱うなど、特に若いマッシミリアーノ氏とフランチェスコ氏は公私共に繋がりが深いそうです。

「今晩何を着て行くか?」で盛り上がり、マッシミリアーノ氏のディナースーツを見せてもらいました。
この日の「CLASSIC WITH A TWIST(捻りを加えたクラシック)」というドレスコードを踏まえ、こちらのエレガントなスーツに合わせるのはショップオリジナルで作られたパイル地のボウタイ&オペラシューズ(両方とも共地で水色!)。
社長の方は「毎年クリスマス当日にしか着ない赤いスモーキングジャケット」とのことで、フォーマルウェアを見事に遊ぶ着こなしに脱帽しました!




縫製のワークルームも見学。
ベテランと若手がうまくミックスされ、若手を気遣いながら適切なアドバイスを与えていく熟練職人の姿が印象的でした。
技術の伝承は業界全体で重要なことですが、この名門テーラーでもしっかりと技が受け継がれているのを見れて少し安心しました。




こちらはフィッティングルーム。
内外の著名顧客の写真が並べられています。
ミラノ広しといえども、このフィッティングルームで仮縫いを受けられるのは本当に一握りの富裕層のみです。
サロンの雰囲気も素晴らしいのですが、接客が終わったばかりで散乱していたため撮影は遠慮しておきました。笑




最後に社長&Jr.と記念撮影!
お二人とも(当たり前とはいえ)素晴らしいウェルドレッサーでした。
後のレセプションでもお話しできましたが、奥さまと楽しそうに踊るカルロ社長の姿もまた印象的でした。。。

ちなみに同店の服地のストックは約5,000点にも及び、ヴィンテージを含んだ英国物が多いものの近年はイタリア服地の取扱も増えてきているとのことでした。
(裁断中だった一着は、なんと1981年製のヴィンテージのHARRISONSでかなり嬉しくなってしまいました!)

忙しいなか温かく迎えていただいたお二人には、心より感謝いたします!
(本年の雑記帳はこれで最後となります。1年間誠にありがとうございました。来年もお付き合いのほど宜しくお願いいたします!)


SHORT WALK IN MILAN

12/20/2013


先日のミラノ出張は、実質滞在1日の大変短いものでした。
夜のレセプションがメインだったのですが、もう一つミラノの名門テーラー A CARACENI(A カラチェニ)に午後お邪魔できることになったのはラッキーでした。
アポの時間までの間にクリスマス前のミラノの街を散歩してきました!まずはガレリアへ。




ガレリアの入り口には、最近日本でも再び注目されているBORSALINOのショップがあります。
レディースの可愛らしいハットも扱っているようです。




ドゥオーモの広場に抜けると、大きなクリスマスツリーが!!
こちらはミラノのクリスマス時期の風物詩だそうです。




こちらはどこかと言うと、ATM(ミラノ交通局)のオフィスです。
ちょうどドゥオーモの真下あたり、駅の中にあります。
なぜここに来たかといいますと。。。




こちらCARNET(カルネ)と呼ばれる地下鉄・バスの回数券。
10回まで乗れ期限がなく便利な為、出張や観光で利用されている方も多いかと思います。
今回使おうとしたところ、5回分残っているのに改札を通れないことが発覚!
友人からこのオフィスでのみ交換可能と聞き、散歩ついでに来てみたのでした。
差額分を支払い、新しいCARNET(10回分)に交換することができました。

ミラノに行かれる方で、もしCARNETが使えなくなったら捨てずにぜひトライしてみて下さい!

次回は、ミラノ随一の名門テーラー A CARACENIの訪問の模様をお届けします。

THE FABRIC BY VITALE BARBERIS CANONICO -Ⅱ-

12/16/2013


前回から引き続き、先日ミラノで開催されたVITALE BARBERIS CANONICO(以下カノニコ)の350周年記念イベント“THE FABRIC”の模様をご紹介させていただきます。

約10の小部屋から構成されたアトラクションのような展示スペースを抜けると、2つのバーカウンターとバンド演奏用ステージを備えた広い歓談スペースが現れます。
招待者はここでウェルカムドリンクを片手にトークに興じたり、バンドが演奏する軽快なロックに合わせ体を動かしたり、思い思いの時を愉しんでいました。




この会場にもカノニコの歴史を紹介した展示があったり招待客を飽きさせない工夫が随所に見られます。
一番驚いたのは、当日のプログラムについてカノニコの誰に聞いても「我々もなにも知らされていないんです!」とのことで、この夜の企画は同社14代目にしてクリエイティブディレクターのフランチェスコ氏主導のもと秘密裡に準備が進められたようでした。
彼個人もそうですが、本当に遊び心の溢れた会社です。。。




さすがイタリア!バーエリアでは2時間ほど過ごし、プレミアムな時間はゆっくり流れています。
(後日ご紹介させていただきますが)この日の午後にお邪魔した名門テーラー A CARACENIの社長親子も合流し、話が弾みました。

そして突然会場の隅のカーテンが開かれると、更に大きなダイニングスペースが出現!!





200名以上の招待客が着席しドリンクとフードがサーブされると、カノニコ家の現経営陣の挨拶と乾杯でディナーがスタート。
壇上左がフランチェスコ氏で、右の現社長とは従兄弟同士だそうです。


PALAST ORCHESTER

間もなくオーケストラが現れ、演奏がスタート。
ベルリンを本拠地とするこのPALAST ORCHESTERは欧州ヒットチャートにも登場する有名なバンドだそうで、ヴォーカル マックス・ラ―べ氏の唄う1920~1930年代の名曲の数々は素晴らしい!の一言。
ミラノの特別な時間を彩る、最高に贅沢なひと時でした。
(歌声に浸っていると心地よい酔いと共に時間を超越する感覚に陥り、先日観た「華麗なるギャッツビー(ディカプリオ版)」の煌びやかな世界が頭に浮かんでくるのでした。。。)

約2時間のディナーの後はまた歓談スペースに戻り、さらに歓談やダンスに興じます。
先ほどのA CARACENIのカルロ社長が、奥さまとすごく楽しそうに踊っていたのが印象的でした。
(残念ながら私は以前に英国で出席したウェディングパーティー同様踊ることができず、社交ダンスが身近にある欧州との違いを改めて感じてしまうのでした!)

日付が変わる頃に失礼しましたが、たった数百メートルの距離のホテルまでの為に手配されたメルセデスのVIPバスが1時までピストン運行されているなど、カノニコのゲストへのおもてなしの心や、少しでも愉しませようというホスピタリティー(そしてサプライズも!)を随所に感じたイベントでした。




さて、この日いただいたウッド&レザーコンビの立派なボックスを帰国後開けてみると、中には特製香水(EAU DE PARFUM)とアトマイザーのセットが。。。
「一体これだけでどれだけかかっているんだろう!」なんてまず驚いてしまう小市民な私に呆れつつ、こういったイベントやおみやげ一つにも表れる「ブランドの世界感、方向性の重要さを再認識しました。

日本から招待されたのは弊社を含め2社だけというのも大変光栄でしたが、素晴らしい体験をさせていただきました。
今後も弊社はカノニコ服地の素晴らしさを日本の皆さまにもっともっとお伝えしていきたいと思っております!

THE FABRIC BY VITALE BARBERIS CANONICO -Ⅰ-

12/09/2013
展示コーナーへのエントランス

本年350周年(!)という大きな節目を迎えた、イタリアの名門ミル VITALE BARBERIS CANONICO(以下、カノニコ)。
先週ミラノで行われた記念イベント“THE FABRIC”に光栄にもご招待いただお邪魔してきましたので、その模様を2回に分けてご紹介させていただきたいと思います。
会場はミラノ中心部にあるPALAZZO DELLA PERMANENTEという歴史ある美術館。
中に入るとすぐに展示コーナーへのエントランスが。。。


展示コーナー

展示コーナーは幾つもの小部屋に分かれており、各部屋ではテーマに合わせセレクトされた生地とそれに合わせて撮影された美しい写真、そして生地をイメージして調合された香水が展示されていました。
それぞれの部屋では美しい女性スタッフが生地と香りの由来を丁寧に説明してくれます。



MOTO GUZZI

ある部屋には1台の美しいビンテージバイク(戦前のMOTO GUZZI)が展示されていました。
聞くまでもなくこのバイクが誰の物か判ったのですが、こちらは同社14代目にしてクリエイティブディレクターのフランチェスコ氏の愛車

以前食事をしていた時に、彼にこのバイクのことを聞かされていました。


MR. BRUNO LANDI

この部屋にかけられていた写真がこちら。
そして、写っているこちらのダンディーなモデルが誰かを聞いてビックリしました!
それは昨年ERMENEGILDO ZEGNAから移籍し話題となったイタリア服地界の重鎮、現カノニコ社のセールスマネージャー ブルーノ・ランディ氏。
カノニコらしいユーモアのあるアイディアですが、初めの部屋の絵で幼子を抱く男性も実はフランチェスコ氏だったそうです。。。




こちらの部屋の写真には、ピクニックでブランケット代わりにひかれたネイビーのかわいらしいチェック生地が。そして、部屋に敷き詰められた芝生は、なんと人工のものではなく天然の芝生でした!こういったディテールへのこだわりにもブランドの哲学が表れますね。
食器などが入ったピクニックハンパーも置かれていました。



VINTAGE ALFA ROMEO

そして、その横にはなんと写真の中に出てくる美しいヴィンテージカーの実物が!
やはりイタリアの男性はクルマが大好きなようで、皆この美しいアルファロメオを取り囲んでいました。


このような小部屋は約10に及び、一夜だけの展示とは思えないスケールとクオリティーに私は驚きを隠せませんでした。
この展示で使われた資料は来年“THE FABRIC”という記念本にまとめられ出版されるそうで、今回はそのお披露目の意味もあったようです。

この展示コーナーを抜けると、2つのバーコーナーとバンド用のステージを備えた広い歓談スペースが現れます。

続きはまた次回ご紹介させていただきます。


INVITATION FROM MILAN

12/02/2013

いよいよ12月。今年も残すところ僅かになりましたね。。。

週明けの月曜は大体バタバタしておりますが、今日は特に!とういうのも明日からイレギュラーな海外出張なのです。
先月届いたこの一通のInvitationは、あるイタリアの老舗ミルの350周年(!)を祝うイベント&ディナーのもの。
僭越ながらこの特別な機会にご招待いただくことになりました。

2泊4日の弾丸ツアーですが、当日の模様は後日しっかりレポートさせていただきたいと思います。

SUNDAY RIDE

11/25/2013


今回はオフタイムに関して書かせていただきます。

昨日の日曜はよく晴れて気持ちのいい一日になりましたが、私は久しぶりにお仲間達と恒例の“多摩川サイクリング”に行ってきました。
調布の橋に集合した後ひたすら川沿いのサイクリングロードを上って行き、目的地の福生(米軍横田基地前)のアメリカンダイナーでハンバーガーを食べて帰ってくるこの企画。
四季の移ろいを肌で感じながら走るこの時間は抜群の気分転換になり、空腹でかぶりつく焼き立てハンバーガーが(自宅からの通算で)80キロ弱にも及ぶライドの最高のご褒美です!

写真はこの2年間愛用している英国製自転車。
年に数回しか乗ってやれませんが、昨日も快調に走ってくれました。

皆さまの「趣味の秋」は何を楽しまれていますでしょうか?

BURLINGTON ARCADE

11/18/2013


少し空いてしまいましたが、秋のロンドン出張について最後の記事を書かせていただきます。
SAVILE ROWからメンズブティックの聖地JERMYN STREETにかけて散策する際、いつも通るのが「世界最古のショッピングアーケード」として知られるBURLINGTON ARCADE(バーリントン・アーケード)です。




SAVILE ROWに直角に接する通り BURLINGTON GARDENSから、PICCADILLY STREETまでを貫く200m弱のこのアーケードは1819年に開設されました。
現在もバッグ、靴、香水、宝石など格式のある高級専門店が軒を連ね、多くの人で賑わっています。




色々なお店のショーウィンドーを見ながら歩くのは楽しいものですが、今回目立っていたのがこちら。
HARRISONSの記念企画でもお世話になっている、英国王室御用達の香水ブランド PENHALIGON'S(ペンハリガン)です。
ちょうど新作“Iris Prima(アイリスプリマ)”の発売が始まったばかりで、インスピレーションの源となったプリマ・バレリーナを表現する為、多数のバレエシューズが吊り下げられ目を惹いていました。




ファッション業界にもファンが多いスーツケースブランド、GLOBE-TROTTER(グローブ・トロッター)の本店もあります。
復刻された人気シリーズ Candyがメインで飾られていて、ピンクのビビッドなカラーがこのクラシカルなアーケードと店構えに不思議とフィットしていました。





最後にこちらはJERMYN STREETの名門シャツメーカー、TURNBULL & ASSER(ターンブル&アッサー)です。
歴代の007からチャールズ皇太子まで、多くのセレブリティー達に愛されてきた超老舗ですが、意外にもウィンドーはあのビートルズをフィーチャーしたポップなもの。
聞いてみると、ビートルズのデビュー50周年を記念したアルバムの発売に合わせ、コラボグッズ(ポケットチーフなど)の販売も行ったとのこと。

近年ターンブルは媒体での広告宣伝を行わないことをポリシーにしていますが、007とコラボしたシャツセットを販売したり、サプライズを忘れないのは「伝統と革新」を重視する英国の老舗ブランドならではと思います。

ロンドンはそろそろクリスマスイルミネーションが綺麗な時期。
XX年前に住んでいた頃の記憶が、懐かしく蘇ってきます。。。

MAGEE

11/11/2013
DONEGAL
 
前回に続き、今回はもう一つのツイードブランドについて書かせていただきます。

自然の持つ素朴な色合いで織り込まれたドネガルツイードを生産するMAGEEは、アイルランド北端の風光明媚な地 ドネガルで1866年からの長い歴史を誇り、その暖かさ、柔らかな質感と豊かな表情で世界的に愛され続けてきました。




芝や荒野のアーシーなブラウン。シダや小麦の束のようなゴールド。
アイルランドの低湿地帯や牧草地のグリーン。紅葉の赤褐色。
山土や木イチゴの赤。流れる泥炭の霞がかったようなグレー。
空、粘板岩の様なブルー。サンザシの小枝のホワイト。。。

それぞれの色柄には、ドネガルの気候・風土が息づいています。




ハリスツイードほどメジャーではありませんが、負けないストーリーと豊かな表情を持つドネガルツイード。ファッションのプロからは評価の高い生地ですが、この冬はぜひ多くの皆様に触れて・着ていただきたいと思います。

THE SEASON FOR HARRIS TWEED

11/05/2013
愛用のハリスツイードJK

「文化の日」の3連休が終わりましたが、皆さま如何お過ごしになられましたでしょうか?
私は長野で紅葉を愉しむことが出来、秋の訪れと共に冬がすぐそこまで来ていることを実感しました。
というわけで、今日は今シーズン初となるハリスツイードを着ての出勤となりました。
4,5年前に仲良くしていただいているテーラーさんに仕立てていただいたハンドメイドのジャケットで、やはりフィット感が抜群!
英国では数十年着るのが当たり前のハリスツイードとしてはまだ新品の部類ですが、大切に着て行きたいと思っています。


AW2013 COLLECTION

さて、毎年ご好評いただいている弊社のハリスツイードCOLLECTIONは、今季も全58色柄の充実した内容で展開されています。
メインのSUPER FINE(400GMS)に加え、肉厚のクオリティーFEATHER WEIGHT(490GMS)からもお選びいただくことができます。




今季のおススメはヴィヴィッドなオレンジや、旬のブラックウォッチ!
クラシックな装いだけでなく、モダンな着こなしも愉しめるのもハリスツイードの魅力です。



Isles of Lewis (photo by H Kishi)

ここでハリスツイードの豆知識を一つ。
よく雑誌や広告等でハリスツイードを「手紡ぎの糸を使い、手で織られたツイード」と紹介されていますが、これは正しく理解されていないことが多いようです。
昔と違い紡績は機械で行われ、製織はずっと人力織機(手でなく足を使います!)が使われているのですが、旧式機械を使った昔ながらの製造工程なのでやはり手間と時間がかかります。
日本の伝統工芸で言う「手紡ぎ・手織り」とはニュアンスが異なり、英語の“HAND”には「人力」と言った意味が含まれているので注意が必要です。

「全製造工程を島内(ハリス&ルイス島)で行わなければいけない」、「全ての生地はハリスツイード協会の検定・認証を受けなければならない」などの様々なルールや、あのシリアルナンバー入り織ネームでも有名なハリスツイードですが、この生地の背景にある歴史的背景や島の文化に触れていただくと、奥深い世界をよりお愉しみいただけるのではないかと思います。




今年は美しい写真の数々と共にハリスツイードに秘められたストーリーの数々を紹介する本も出版されたり(「ハリスツイードとアランセーター」 万来舎刊 長谷川喜美著)、スローファッションの極みでもあるハリスツイードが再び注目されています。
「手間暇をかけてスコットランドの美しい小島で織り上げられたツイードを使い、自分の体と好みにフィットするオーダーメイドで仕立てる」、そんな一着を今シーズンぜひ如何でしょうか?
 

MR. JAMES DUNSFORD

10/28/2013
大阪にて

先週の1週間、英国を代表するファミリーマーチャント LBD-HARRISONSの社長であるジェームス・ダンスフォード氏が来日しました。
今年150周年を迎えたメインブランド HARRISONSの祝賀レセプションのため4月に来日して以来、久々の日本となりました。
九州、関西、東海、東京と、出来る限り多くのお取引先様にお邪魔し情報交換などをさせていただきましたが、最近すっかりデスクワーク漬けになってしまっている私にとっても貴重な機会となりました。


心斎橋の屋上バーで

日中はひたすら仕事ですが、移動中や夜一杯飲りながら話すのも打ち合わせ代わりの大切な時間。時には親しいお取引先様に飛び入りで参加していただくこともあります。
「創業150周年の高級服地ブランドの社長」というと堅いイメージがあるかも知れませんが、明るくウィットに富み、だれとでもすぐに打ち解けてしまう同氏のキャラクターの為、日本にも多くの友人ができました。


HALLOWEEN PARTY

ブランドの150周年という大きな節目となった本年、4月の祝賀レセプションや数々の記念企画などお陰さまで大変充実した年になりました。
日本最後の夜は、親しいお取引先様やレセプションでお世話になったブランド様などをお招きしてのハロウィーンパーティー!
美味しいお酒・料理、そして愉しい会話でアットホームかつリラックスした夜になりました。
(英国ファッション・カルチャーの第一人者として知られるジャーナリスト 長谷川喜美さんもお忙しいなか駆けつけていただき、ロンドン ビスポーク業界の最新事情の話などで盛り上がりました)

来年に向けても、HARRISONSでは様々な商品、企画をご用意しておりますので、ぜひお楽しみに!!




SAVILE ROW

10/15/2013


日本はようやく秋めいてきたと思ったら先週末の猛暑、そして台風と慌ただしい気候ですが、今回は先月の欧州出張の続きを書かせていただきたいと思います。
9月の下旬に訪れたロンドンは、前週の寒波が去り暑すぎず・寒すぎずの(ちょうど今日の東京のような)「典型的なロンドンの9月」といった天気でした。
市場調査と少しのリラックスを兼ねて、徒歩と自転車(公営レンタサイクル)でウェストエンドを廻ってきました!

GIEVES & HAWKES エントランス

やはりまず足が向くのは紳士服の聖地、SAVILE ROW。
土曜の午後だったので既製服なども扱う規模の大きなテーラーしか開いていませんでしたが、驚いたのが1番地の名門GIEVES & HAWKES(ギーブス&ホークス)。
素晴らしい店構えとクラシックとモダンが融合したゴージャスな売り場は相変わらずでしたが、2月に訪問した時に案内していただいた“BARBER & GROOMING”と“BESPOKE SHOES”のコーナーが無い!?
(メインエントランス横でもう一つのエントランスに通じていたこのエリアは、他のテナントの入居予定の看板が。。。)
ショップスタッフに聞いてみると、数か月前にこのスペースにあった3つのコーナー(上記2つに加え、アンティークの販売コーナー)は閉鎖されたとのこと。
確かにSAVILE ROWのテーラーらしからぬ新しい試みではありましたが、モダンブリティッシュを具現化したような洗練されたサロンだったので残念です。。。
2月の訪問の記事は>こちら


HENRY POOLE

今年はHARRISONSの150周年記念レセプション(東京)でもお世話になった、SAVILE ROW最古の名門HENRY POOLE(ヘンリープール)。
今回は挨拶ができませんでしたが、いつもながら重厚なウィンドーディスプレーを愉しみます。


RICHARD ANDERSON

名門HUNTSMAN(ハンツマン)出身のカッタ―で、13番地に店舗を構えるRICHARD ANDERSON(リチャード・アンダーソン)。
若手らしいモダンな感覚は、季節感を上手く取り入れたディスプレーにも表れています。

ロンドンは週末の滞在が多いのでサヴィル・ロウの友人達になかなか会うことができないのですが、ウィンドーを眺める週末も割と好きだったりします。。。

DOUBLE CLOTH BY KUZURI KEORI

10/07/2013
DOUBLE CLOTH 1913-0024

今季リリースされたMAXIM COLLECTIONのDOUBLE CLOTH(ダブルクロス)。詳しくは>こちら
弊社では珍しい国産服地ですが、織元である葛利毛織さんは実は近年アパレル業界で注目を集めています。



工場外観

明治末期(!)の創業以来、日本の毛織物の一大産地である尾州でも特に「クオリティーの高い生地を」生産することで知られてきた同社。ドラマ「官僚の夏」などでも舞台になった趣のある社屋も有名ですが、葛利さんが特別な理由は実は他にあります。


ションヘル織機

そう、ご存じの方も多いかと思いますが、葛利さんの生地は基本的に全てシャトル式のションヘル織機で織り上げられています。私の知る限りでは、このようなメーカーは世界中探しても他に類を見ません。
木製のシャトル(=杼 ひ)を使用するこちらの織機はすでに50年以上前に生産が終了しており、大量生産ができずメンテナンスにも手間がかかる為、現在は英国の一部の工場で同タイプの織機がサンプル生地用にごく僅か稼働しているにすぎません。

昨年同社のお邪魔した際、社長さんにこの織機にこだわる理由をお聞きしました。
曰く、「この織機を使うと大変な手間と時間がかかるが、経緯(縦横)の糸がしっかりとからまった立体的でふくらみのある昔ながらの風合いを出すことができる」とのことでした。
弊社では国産のオリジナルラインMAXIM-COLLECTION生地の生産を長年お願いしてきましたが、「風合いと仕立て上がりがいい」と確かにテーラーさんからの評価は非常に高いものがありました。
ファストファッション全盛の今だからこそ、手間暇を惜しまずクオリティーに拘ったモノづくりが見直されてきているのかも知れません。。。
#先月末に放送された、NHK(Eテレ)「美の壺」でも同社工場の生産風景が紹介されました!



鋸屋根

紳士服地の聖地英国ハダスフィールドでさえ、昔ながらの織物工場は減少を続ける一方ですが、我がニッポンの一宮でこのようなモノづくりが残っているのは、昨年遅ればせながら初めてお邪魔して大きな驚きでした。
創業当初よりの社屋もやはり圧巻で、自然光を少しでも多く取り入れるための鋸屋根は当時の主流だったそうです。





希少なダブルクロス織、クラシックな色柄、そしてションヘル織機でこそ実現した豊かな風合い。
まさに「現代のビンテージ生地」といえる“DOUBLE CLOTH BY KUZURI KEORI”は、「長年愛用できる一着」に是非お勧めしたいマテリアルです。