la mode europeénne sélectionné pour vous

FIRST FITTING

4/26/2014


先日の出張で初めての“サヴィル・ロウ”スーツをオーダーしてきたことは以前に書かせていただきましたが(詳しくはこちら)、定例のトランクショーで来日中のHENRY POOLE共同社長兼カッタ―のAlex Cooke(アレックス・クック)氏に今朝仮縫いをしていただきました。

私はいままでメイドトゥーメジャー(イージーオーダー)の方が多く、ビスポークスーツの仮縫いは数えられる位しかないので今でも少し緊張します。
姿勢が硬かったのかは始めは「普段のようにもっとリラックスして」と言われましたが、色々話しながら進んでいくとすっかり和んでしまいました。
日本での仮縫いとそれ程違いはありませんが、修正箇所はチャコでガンガン書いていくのがワイルドでした!




終了後にパチリ!
ジャケットは綺麗なイングリッシュドレープを既に出してもらっていて、完成のイメージが見えてきました。
9月には2度目の仮縫いを行う予定です。

ゆっくりとプロセスを楽しむのもオーダーの醍醐味ですね!

PRE-SALE SAMPLES FOR COMING SEASON

4/21/2014


ようやく春らしくなったと思ったらまた季節が少し後退してしまったような感じですが、服地ビジネスの世界では絶えず1~2シーズン先行して動いています。
写真は弊社がインポートしサンプル(AW2014シーズン向けバンチ・ブックレット)に編集予定のブランド別服地スワッチ一覧。
実際の新コレクション内容をお取引先様にご覧いただき、展示用、サンプル用、DM用など予約注文をいただくこれからの大切なプロセスになります。
この他にもHARRISONSなど海外マーチャントの新コレクションや、クリアランスなどもあるので、ご提案商材の数はこの倍近くになります。


 

一般の皆様へのお披露目はもっと先になるのですが、当雑記帳をご覧いただいている皆様には少しだけチラ見してただきます!笑

まず「最も有名なツイード」として知られるスコットランドのブランドからは、こんなビビッドな新色柄が!大人気のブラックウォッチに加え、新登場のブラウンウォッチも見逃せません。




創業350年のイタリアの名門ブランドからは、新登場のプレミアムクオリティーSUPER140'Sが!
業界でも非常に評価の高いクオリティーですが、海外マーチャントを通して供給されると高価になってしまうのがネックでした。
今回は弊社渾身の直輸入により、充実のコレクションをリーズナブルなプライスで展開させていただきます。(このクオリティー、イタリアでは高級ビスポークでもよく使われるそうです)

以上、匿名にしてもあまり意味のない感じでご紹介させていただきましたが 笑、他にも素晴らしいコレクションが色々あります。

人気の色柄はシーズンが始まるとすぐに品切れしてしまい再生産されないものもありますので、洋服好きの皆様にはぜひお早めのチェックをお勧めします!

STEAMER TRUNK

4/14/2014


今回も引き続きMONOの話題で失礼いたします。
前社長の頃より社長室(現ミーティングルーム)に置かれており、今後もディスプレーとしてこの部屋に引き続き鎮座することになったこちらは、STEAMER TRUNK(スチーマー・トランク)と呼ばれるアンティークです。




パッと見た形状は現代の旅行用スーツケースに近いのですが、大きな違いはハンドルが横に2つしか付いていないこと。(勿論キャスターなどはありません)
こちらは船(当初は汽船)で旅をするのが主流だった時代、船の中に運び入れクローゼット代わりに使用していたなごりの形状。幅は90cm程あるのでとても一人では持つことができません。
縦置きで、本当にクローゼット位のサイズのものも当時はあったようです。




このような中蓋があり、小物などは仕切れるようになっています。
こうやって見てみると中もかなり状態がいいようです。




このケースにはメーカーや製造年代を示す表記がないのですが、年季の入ったロックには“BRITISH MAKE”とありやはり英国製のようです。
表素材はレザーやバルカンファイバーではなく、布のような繊維状のものを樹脂コーティングしたものが使われています。
勝手な想像では第一次大戦後に製造されたのではないかと思うのですが、詳しい方がいらっしゃいましたらぜひ教えてください!




ちなみにこちらは以前にサヴィル・ロウ1番地の名門、GIEVES & HAWKESで見せていただいた英国海軍士官用のスチーマートランク。
確か第一次大戦前の製造で、オール木製の為すごい重さ!
洗面器から鏡まで備え付けられていて、身だしなみにもこだわっていたスマートな海軍士官の矜持を見てとることができます。

ちなみに弊社のトランク位の年代のものは英国で多く流通しているようで、ネットオークションなどでは凄く手ごろな価格で販売されています。
ご興味のある方はぜひ!

MEMORIAL CHAIR

4/05/2014


今回は久しぶりにMONOの話題を書かせていただきます。
写真の英国製アンティーク椅子。実は弊社の70年強の歴史の1ページを物語る(私たちにとって)とても大切なものなのです。




こちらは背もたれに貼られた銅板プレートで、「1992年4月 マルキシ新社屋の落成を記念し、エドウィン・ウッドハウス社が進呈する」と刻まれています。
1857年創業の英国の名門メーカーEDWIN WOODHOUSEは、当時のオーナー家であるゴント家の3代目兄弟が社長を務めており、弊社とは2代に亘り親交を深めていました。
1992年4月に落成された新社屋とは、弊社創業の地 神田須田町で長く使用された旧社屋を大幅増床し立て替えたもので地上9階、地下1階建てと当時の服地卸業界では群を抜く規模でした。

この時点で目前に迫ったバブル経済の崩壊は皆様のご存じの通りですが、弊社もこの後の10年強で本社を2回移転する(現在の本社は隣町の神田淡路町)など荒波に揉まれていきます。
服地業界全般も大きく変わっていきますが、撚糸から仕上げまで全てを自社で手掛ける総合ミルとして名声を得たEDWIN WOODHOUSEも、2008年に大手服地製造グループの傘下に入りゴント家の手を離れます。
(ちなみにEDWIN WOODHOUSE旧工場を含むヴィクトリアン様式のSUNNY BANK MILLSは、ゴント家の4代目の従兄弟同氏 ウィリアムとジョン共同社長により織物工場の歴史を活かしたオフィスビルへとリノベートされ現在も人気を博しています)




さて、椅子の話に戻ります。
綺麗にレストアされたままの良好な状態を保つこの椅子は、正確な年代は不明ですが100年程前の様式と推測されています。
全体的に美しい曲線を描き高い技術によって製作されたことが見てとれますが、実際の座り心地もなかなかなものです。




近年は私の実家にしまいこまれていましたが、旧社長室をミーティングルームへとプチリニューアルするにあたり久しぶりに会社に戻ってきました。
英国には100年を越える会社はざらにありますが、弊社の73年という歴史も(特に社長に就任してからは)ひしひしと重みを感じています。
この椅子に更なる歴史を刻んでいけるよう、家業を頑張っていきたいと思います!