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HARRIS TWEED -Ⅲ-

11/20/2019

「ハリスツイード」の故郷、ハリス&ルイス島訪問の話題も今回で最後です。
工場を出て、ウィーバー(Weaver=製織職人)の自宅に向かう途中の雄大で美しい風景の中、突然このような石の遺跡が出現します。「ストーンヘンジ?」と思われる方も多い方と思いますが、こちらの「キャラニッシュ ストーンズ」は、まさにストーンヘンジが誕生した数百年後(紀元前2900~2600年)に作られたとされる歴史ある遺跡。
なんと今から5000年前に人々は何らかの意図を持って、北の果てにこのようなサークルを築いたのでした。。。




ウィーバーの家に到着!ウィーバーは、別棟やガレージのような場所を利用して織機を設置しています。その数は、現在約190名
フルタイム、パートタイムとそれぞれのライフスタイルで就業が可能ですが、ウィーバーはハリスツイード協会から認定を受けないとなることができません。以前はシングル幅の織機(ハッタースレイ)も使われていましたが、現在最大手のHarris Tweed Hebrides(ハリスツイード ヘブリディーズ)では通常ダブル幅のみを生産しているようで、殆どのウィーバー宅ではサイクリング式のダブル幅織機(ボナスグリフィス)が使用されています。



私も久しぶりに漕がせてもらいました✨
前回は工場でサンプル生地用の織機を漕がせてもらいましたが、今回は実際の販売用。
「認定されてないけどいいの?」と思いましたが、少し位ならいいようで遠慮せずにやらせてもらいました。「同じスピードを保つ」、「逆には絶対に漕がない」のがコツなようで、私は「筋がいいね」と褒められました♪



ランチの後は、3回目の来島にして初めて「ハリスツイード協会」の本部を表敬訪問!



資料室にはハリスツイードの歴史や製造方法を説明したボードの他、新旧の織機も展示されていてまさに「ハリスツイードの聖地」という感じ✨こちらは、シングル幅の織機「ハッタースレイ」の最初期のもので、両足で交互に足踏みをするようにして稼働させます。サイクリング式に比較すると格段に体力を使いますね💦



あいにくこの日はトップの会長さんは不在でしたが、あの「ハリスツイード協会」に訪問することができたのは貴重な機会でした。2010年に100周年を迎えた後、日本では「ハリスツイードを少量のみ使用した製品」が量販店で乱売されるなど一部で問題もありました。協会の努力もありかなり落ち着いてきており、現在は従来のファンが戻ってきているように見受けられます。

冬もすぐそこまで来ていますが、豊かなヒストリーとストーリーを持つハリスツイードで、一生もののジャケットを仕立てられては如何でしょうが?

HARRIS TWEED -Ⅱ-

11/12/2019

HARRIS TWEED HEBRIDES(ハリスツイード ヘブリディーズ)工場訪問の話題の続きです。
「製織(織機で服地を織る工程)」を、「職人」が「自宅」に於いて「人力」で行うのがハリスツイードの大きな特徴の一つなので、工場では販売用の製織は行われていません。ただ、サンプル作成などで生産する必要があるので、工場内には半幅、全幅の2タイプの織機が置かれています。あいにくこの時は製織の準備中で動かしていませんでした💦



工場訪問の後には職人宅で実際に製織されているところを見学に行ったのですが、とりあえず工場内での工程を続けて紹介させていただきます。織り上げられたハリスツイードは、帰ってくるとこんな感じで無造作に積み上げられ。。。




「ミリング」と呼ばれるウェットフィニッシング工程では、洗浄と同時に高速でツイードを「揉み」目を詰まらせます。



こちらはでは、乾燥させながら服地を伸ばして安定させます。ウェット・ドライ共に複数の工程を経てようやく完成が近づきます。



異物を取り除き。。。(「ケンプ」と呼ばれるウールの「死毛」はハリスツイードのアジとも言われていますが、部屋を使ってウールを混ぜたり、このような大らかな環境なので他にも色々と混入するようで。苦笑)



最後にしっかりチェックしていよいよ完成です✨



おっと💦ハリスツイードのもう一つの特徴は、一反一反が「ハリスツイード協会」の検査員にチェックされ、あの有名な「オーブマーク」が付いた認定マークを付けてもらわないと市場に出せない事。ちょうどこの日は週に2日工場に来るという検査員が作業(アイロンでマークを貼りつけ)をしていました♪クオリティー自体は工場でチェックされているので、検査員は書類に不備がないかなどを確認しているそうです。(続く)

HARRIS TWEED -Ⅰ-

11/08/2019

前回の出張の最終目的地は、5年振り3回目の訪問となるハリス&ルイス島。
そう、あの有名なHARRIS TWEED(ハリスツイード)の故郷です!
今回も3社ある統括工場(ハリスツイードは統括工場がマネージメントし、職人が自宅で織り、協会が認定するシステムを採っています)のうち、HARRIS TWEED HEBRIDES(ハリスツイード ヘブリディーズ)にお邪魔してきました✨




私はこちらの工場は2度目の訪問でしたが、初訪問のお取引先様も一緒だったので改めて製造工程を見せてもらいました。せっかくなので皆さまもご一緒に♪
ハリスツイードに使用されるウール(主にチェビオットとブラックフェイス種)は、現在主にスコットランド本土から集められています。全て先染め(原料染め)が施され、糸のカラーはこのようにダイナミックにウールをミックスすることで生まれます。




こちらが基本色で、組み合わせにより無限の数の色糸を作り出すことが可能なのです✨



ハリスツイードを始め、多くのツイードは「紡毛糸」から織り上げられます。繊維の長い「梳毛糸」は手でも撚る事ができますが、紡毛糸に使われるウールは繊維が短いので、「和紙を梳く」時のように繊維を平らに伸ばす「カーディング」と呼ばれる工程が必須です。



撚られる前の太い状態からしっかりと撚りが加えられ、いよいよ「紡毛糸」の完成です。



経糸(縦糸)を揃えていく「ワーピング」という作業。こちらは機械を使いますが、、、(それもなかり旧式の)



「へドル(上下し柄を出す部分)」や「ストッパー(糸が切れた時に落ちてブザーを鳴らす)」などに経糸を通す、製織前の最終準備はなんと手作業💦近代的な工場ではまず見られない光景なのです。。。

ここまでを工場で行うと、いよいよ工程は工場を離れます。(続く)

THE MACALLAN -Ⅱ-

11/01/2019

あのウィスキーのトップブランド、THE MACALLAN(ジ・マッカラン)の蒸留所訪問記後編です。

普通の人は、この写真を見てもどこだか分からないと思いますが、こちらがこの蒸留所の心臓部。
「スチル」と呼ばれる金属容器が連結されたものが3系統、合計36基のスチルが近代美術館の様なモダンな空間に配置されています。ここに至る通路の途中では原料である大麦(Barley)も見せてもらいましたが、こちらで樽詰め前の「ニューポット」と呼ばれる状態の液体になるまでの2度の蒸留が行われます。

驚いたのは、「年間1,500万リットル」と言われるスコットランド最大の生産能力を誇るこの蒸留所の心臓部では、通常僅か9人のスタッフしか配置されていないということ💦美しさだけでなく、効率・生産性を極めた最新の施設であることを実感します。



「ビジターツアー」が大人気のこちらの施設には様々なギミックが。
これは敷地内に今もある創業者の自宅(創業当時の模様)の模型で、樽をイメージした台の上を廻すとせり上がって来ました✨




こちらは樽の内部の様な場所に入って観る、樽の生産風景。
MACALLANでは、主にアメリカンオークとヨーロピアンオークのシェリー樽を使用しているそうです。
今回初めて知りましたが、前述の「ニューポッド」はほぼ無色で、ウィスキーのあの綺麗な「琥珀色」の99%は使用されている木やしみ込んだシェリー酒などから来ているようです💦



やはり最後はテイスティングタイム!
こちらでは「ニューポッド」も試せる他、年代の違う2種を楽しむことができます。
この日は朝からウィスキーを飲んでいましたが💦、それぞれ味わいが違うのと、もったいないので全て飲んでしまい気分はよくなるばかり。笑





荷物の都合で買う予定なかったのですが、「ツアー参加者だけに先行販売されている限定ボトル」とのことで記念にしっかり買ってきてしまいました♪



帰り道、駐車場脇の原っぱにいたのは、「スコティッシュ・ハイランド・キャトル」と呼ばれるスコットランド原産の牛。
初めて近くで見ましたが、なかなかの存在感でした✨