la mode europeénne sélectionné pour vous

HARRIS TWEED & ARAN SWEATER

5/27/2013

英国のファッションやブランドを文化的な側面から解説、紹介されてきたジャーナリスト、長谷川喜美さんの新著 “ハリスツイードとアランセーター”が発売されました。

帯にあります紹介文の一部を拝借します。
「スコットランドとアイルランドの小さな島で誕生した2つのクラフトは、様々な“伝説”をともない、いまなお、服飾好きの心を揺さぶる。その伝説の真実とは何か。。。」

「効率化、均一化、大量生産」を突き詰めた結果、世界中のマーケットはいわゆる“ファーストファッション”とよばれるメガブランドに席巻されています。
残念ながら増えることは少なく、人知れず消えていってしまうことも多い“スローファッション”の中でも、ハリスツイードはその際立ったストーリー性もあり今でも愛され続けている稀有なブランドの一つです。(ただ、ほんの数年前にはハリスツイードが存亡の危機にあったこともこの本に詳しく記されています)

そんな気難しいことはさておいても、オーダー業界に於いても特別な存在であるあり続けるハリスツイード(そしてよりミステリアスなアランセーターも!)の知識を深め、より身近に感じていただく為にも、ぜひお手元に置いていただきたい一冊です。

美しい写真の数々は阿部雄介氏によるもの

上の写真は、実際のハリスツイードの色と、ハリス&ルイス島の自然から切り取った写真を比べたもの。この生地はこの島の自然や気候にも根付いていることがよく分かります。
このような多くの美しい写真と共に、ハリスツイードの今昔が詳しく解説されています。


ルイス島の風景(photo by H.KISHI)

ハリスツイードは弊社でも長く取り扱ってきた非常に思い入れのある服地ですが、私も10年近く前にこの島を訪れました。
これはハリスツイードに限ったことではないのですが、服地もその表情に産地の歴史や環境が大きく影響していることが多く、この島の美しく厳しい自然、そして人々の質素ながら豊かな営みを実際に見てこのツイードが益々好きになりました。

ダブル幅の織機を漕ぐ私
写真は今は無くなってしまった当時最大だったハリスツイードの工場、Kenneth Mackenzieでサンプル用織機を漕がせてもらっているところなのですが、すごく懐かしい思い出です。。。

GUIDE TO WEAVES & DESIGNS

5/20/2013


写真の冊子はHARRISONSの150周年を記念して製作された、“GUIDE TO WEAVES & DESIGNS”というものです。
その名の如く多数ある服地の柄を図鑑化したものなのですが、ベースとなっている写真はなんと50年前に同社の100周年を記念して製作された同名の冊子からピックアップされています。

織柄の数々を写真付きで分かり易く説明

ヘリンボーンやピンヘッドなど今も定番となっているものから、ロシアンツイル、ベッドフォードコードなど近年では希少となった生地など42の織柄が解説されています。
プロでも(正直いいますと 汗)すぐには出てこない珍しい柄の名前などがありますので、保存版の図鑑として重宝しそうな一冊です。




冒頭にはベースとなった100周年記念冊子の写真と共に、サヴィル・ロウを代表する(今や2軒のみとなった創業期からの同族経営のテーラー)HENRY POOLE(ヘンリープール)とDEGE & SKINNER(ディッヂ&スキナ―)の両オーナーからの祝福のメッセージが寄せられるなど、紳士服の聖地であるこの通りでHARRISONSが変らず愛され続けていることを伺い知ることができます。

残念ながら非売品となりますが、AW2013シーズンに向けHARRISONSの記念ツイードの取扱店様に配布される予定ですので、ぜひお手にとってご覧くださいませ!

BESPOKE DRIVING SUIT

5/13/2013
マレック・ライヒマン氏

先月開催されたHARRISONS150周年記念レセプションで日本初公開された、一着の貴重なスーツについて書かせていただきます。

アストンマーティンのデザインディレクター マレック・ライヒマンは、2011年のグッドウッドリバイバル(イングランド南西部グッドウッドで毎年9月に開催される、世界的なクラシックカーイベント)に、ヘンリープールが特別に仕立てた“ビスポークドライビングスーツ”で出場したのですが、こちらがその一着になります。

クラシックでありながら古臭くない洗練されたデザイン、そして写真でも分かる抜群のフィット感と仕立の良さは「サヴィル・ロウ最古の名門テーラー」の面目躍如といえるでしょう。
#マレック・ライヒマン(Marek Reichman) 1966年イングランド北部シェフィールド生まれ
DBS/ V12 VANTAGE/ VANQUISH/ ONE-77など数々の名車をデザイン


ヘンリープールでの仮縫い風景

ブラウンのオーバーチェックが載せられた“プリンス オブ ウェールズ”のツイード地は、ハリソンズの姉妹ブランドであるポーター&ハーディングのもの。“プラスフォー”仕様のニッカボッカーズと、ドライビングキャップ(ロック&コー製)が併せて制作され、この素晴らしい舞台で実際に着用されました。


スパークプラグ収納用のレザー製ディバイダ―
 
プラクティカルにデザインされたこのスーツは、ジャケットに数々のギミック(スパークプラグを収納する為のレザー製ディバイダー、スパナ及びタイヤ空気圧ゲージ用インナーポケットなど)が与えられていますが、このモデルとなったのはアストンマーティンの往年の名レーシングドライバー ニック・カッソンズが着用していたドライビングスーツです。

以下はニックの言葉です。

「昔は今のような耐火性素材なんてなかったし、レースの後にはそのまま一杯飲みに行きたかった。だから仕立のいいドライビングスーツが最適だったんだ。ウールは火にも強いしね。」


 

HARRISONS ANNIVERSARY TWEED

5/07/2013
AW2013シーズンに展開予定のブックレットサンプル

先日開催されたHARRISONSの150周年記念イベントで初お披露目されたAW2013向け限定服地が、こちらの“HARRISONS ANNIVERSARY TWEED”です。
当日会場内の特設ブースでも展示されていた1920年代の貴重なアーカイブからピックアップされたカラフルなデザインの数々が、ストーリー性溢れたメモリアルツイードへ織り上げられました。


今回ベースとなった1920年代の生地台帳

スコットランドを発祥の地とするHARRISONSにとって、この地で織り上げられるツイードやカシミアなど(そしてタータンチェックも!)のスコティッシュクロスは昔も今も重要なクオリティーであることに変わりはありません。
今回の記念企画では同社の1920年代のアーカイブがアイディアソースとなりましたが、第一次世界大戦直後の混沌とした時代とは思えない(逆にだからこそ人々は洋服に愉しさを求めたとも考えられますが。。)明るく大胆な色柄の数々は、大柄のチェックが注目されている昨今に於いてもすごく新鮮に映ります。

特別なのは色柄だけではありません。
この服地には5種類のウールがブレンドされていますが、その全てが英国原産なのです!

シェットランド、シュロップシャー、サフォークの柔らかくラグジュアリーな質感、チェヴィオット、ウェルシュ・マウンテンのしっかりとしたアジのある風合いがこのツイードに独特の豊かなキャラクターを与えています。
ブリテン島の北から南まで、それぞれの土地の気候や風土に合った様々な羊が現在も飼育されていますが、実は英国は純血種の羊に関して世界で最も多くの種類を有していることはあまり知られていません。

色柄、品質ともに、150周年の歴史を誇り、英国を代表する服地マーチャントであるHARRISONSだからこそ実現できたこのアニバーサリーツイード。
「長きに亘り愛着を持って着る」、英国流のライフスタイルに相応しいマスターピースになることは間違いなさそうです。。。

ANNIVERSARY TWEED特製織ネーム