la mode europeénne sélectionné pour vous

SEASONAL GREETING

12/29/2014


弊社は本日が仕事納めとなります。
今年も一年間弊雑記帳にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
お陰様で私が社長に就任し2年が経ちますが、無事新しい年を迎えることができそうです。

さて、よくお取引先様や友人から「(海外)出張が多いね~!」と言われますが、実際は展示会メインで年2回、今年と昨年はイレギュラーな出張がプラス1回ずつありましたがそれほど多いわけではありません。恐らく弊雑記帳やSNSなどで出張風景をご紹介することが多いのでそういうイメージなのかも知れません。
実際は普段ひたすらデスクワークで運動不足がかなり心配な日々です。。。

有難いことに出張時は役得で様々なところに行けたり、なかなか出来ない体験をさせていただくことも(たまに 笑)あるので、これからもこちらでご紹介させていただければと思っております。

今年の出張シーンを幾つか振り返らせていただきますと、まず11月の出張で約10年振りに訪れたハリス&ルイス島(ハリスツイードの故郷)の美しい風景は記憶に強く刻まれるものでした。。。
詳しくは>こちら




こちらは9月の出張で長年の念願が叶い訪れた、“GOODWOOD REVIVAL(グッドウッドリバイバル)”の一コマ。イングランド南部のチチェスターで年1回開催される世界最大規模のクラシックカーイベントですが、参加者の衣装や、戦中の航空機まで飛ぶ想像を超える規模など、英国文化の奥深さを改めて実感した1日でした。
詳しくは>こちら





こちらは2月の出張で初めて参加した、“BTBA FESTIVAL DINNER”というパーティー。全英の主要テーラー、服地卸商が慈善目的でおこなう年に一度のビッグイベントです。有難いことに近年サヴィル・ロウの友人も増えて来たので、情報交換をしながら大変愉しい時間を過ごすことができました。
詳しくは>こちら





最後は、英国大使館主催、ウールマークカンパニー後援で10月に行われたイベント(@丸ビル)の一コマ。スーツ地、ツイードなどで作られたキューブチェアは、LBD-HARRISONSグループがご協力させていただきました。
そして、この日の為に英国からやってきた羊君達は10匹以上いて大人気!
そう、来年は羊年ですね!!

来年は例年以上にウール製品の素晴らしさ、オーダーメイドの愉しさを社を挙げて発信していきたく思っております。
来年も弊雑記帳に宜しくお付き合い下さいませ。

皆さま、よいお年をお迎え下さい!

WOOLLEN FLANNEL

12/22/2014


今年も残すところ10日を切り、寒い日々が続いていますね。
晴れている朝などはなんだかお正月のような気分になってきてしまいます。笑

さて、今回はこんな季節に最適な生地、ウールンフランネルについて書かせていただきます。
ウールンとは紡毛の意味で、一般的なスーツ地に使われているウーステッド(梳毛)と違い短く細かい繊維を糸へと紡ぎます。#よく「ウーレン」と発音される方がいますが、「ウールン」が正解ですので業界の皆さまはお気を付けください!

密に織り、またウェットフィニッシングでは生地を縮絨(摩擦で縮ませる)ことで目の詰まった温かな風合いになります。 ウェットフィニッシングについては>こちら
最後には起毛をかけウールンフランネルの完成です。

上の写真はHARRISONSの400gmsのウールンフランネル。
チャーチルも愛したチョークストライプは今でも英国では定番です。




英国のイメージが強いウールンフランネルですが、イタリアでもしっかり生産されています。
こちらはVITALE BARBERIS CANONICOのS100'Sウールで340gmsのもの。
柔らかでふっくらした独特の質感で、仕立て映えもすると本国では大変人気があるそうです。




そして今季はHARRISONSが復刻したアーカイブフランネルが話題になっています。
470gmsと肉厚のボディーに、アーカイブブックからセレクトした伝統的デザインが素晴らしいマッチングをしています。

近年日本では3シーズン的なウェイトの需要が増えていますが、季節感のある素材を身につけるのはお洒落の基本ですよね!
ウールンフランネルで寒い冬もスーツの着こなしをぜひお楽しみください。

MERRY CHRISTMAS

12/16/2014


今年は暖冬と聞いていた気がしますが寒い日が続いていますね!
若かりし日ほどの高まりはないものの、街中でクリスマスイルミネーションなどを見ると年の瀬であることを実感します。
欧米ではクリスマスカード(近年は宗教色を薄めるため「SEASONAL GREETING」という言葉が
よく使われます)が日本の年賀状のような役目を果していて、この時期になるといくつかの海外仕入れ先からカードをいただきます。

こちらは英国最大のファミリーマーチャント、LBD-HARRISONSから届いたカード。
ブルーのハリスツイードにホワイトの斜め十字(ソルタイアと言います)はそう、スコットランドの国旗セントアンドリュース旗なのですが、エジンバラを発祥の地とするHARRISONSが、スコットランドの連合王国残留を祝ってデザインしたクリスマスカードなのでした!(HARRISONSはグループブランドでハリスツイードを扱っています)




写真は先月訪れたロンドンで、有名百貨店Fortnum&Masonの入り口脇に置かれていたツリー。
大きなツリーもいいのですが、こういう可愛らしいサイズは英国のクラシックな装飾にフィットして大好きです。。。

皆さま、よいクリスマスをお過ごしください!


CORBY FACTORY FOR HARRISONS "WWⅠSPEC" TENCH COAT

12/08/2014
 

今回は久しぶりにMONOの話題をお届けいたします。
英国を代表する高級服地マーチャントHARRISONSは、150周年という大きな節目を迎えた昨年、異業種ブランドとの初の本格的コラボとなるレザーコレクション(HARRISONS×TUSTING)を発表し大きな話題となりました。
そして本年、スペシャルコラボの第2弾として企画されたのがこちらのトレンチコート。勿論ただのトレンチではありません!




今回パートナーとして選ばれたCORBY FACTORY(コービーファクトリー)は、1909年にあのAQUASCUTUMの直営として発足した工場のファクトリーブランド。AQUASCUTUMのプレミアムラインを手掛ける工場として名声を得てきましたが、2年前の同社の経営破綻を機に資本が変わり、現在は他ブランドのOEMも手掛けるようになりました。




今回のコートは第1次世界大戦時のスペックを忠実に再現。サイズのみ現代のビジネスシーンを考慮したタイトでスタイリッシュなものになっています。
ウェストベルトの6ラインステッチ、手榴弾を下げていたDリング、雨風を防ぎながら動きやすさを確保するインバーテッドプリーツなど男ごころをくすぐるディテールが満載!なにせ実際に大戦時のコートを作っていた工場ですので説得力が違います。




こちらのコラボコートの真骨頂は、HARRISONSのタータンチェックを贅沢に使った取り外し可能なライナー!ネイビー、カーキ、ウォルナット(ベージュ)の表地に合わせ、3色のタータンがセレクトされています。寒い冬でもウールの暖かく優しい肌触りで包んでくれます!

日本では70着限定で展開されるこの"WWⅠSPEC" TENCH COAT、一生物のトレンチをお探しだった皆様、この機会にぜひ如何でしょうか!? 参考上代(税抜)¥180,000

#限定商品で流通量が少ないため、弊社までお問い合わせいただけましたらお近くの販売店をお知らせいたします。一部WEB販売もされております。


GALA DINNER AT NO.1 SAVILE ROW

12/01/2014


紳士服の聖地 サヴィル・ロウ(ロンドン)の1番地と言えば、ロイヤルワラント(王室御用達商)3冠テーラー GIEVES & HAWKES(ギーブス&ホークス)の所在地として有名です。
1771年創業のこの名門テーラーに於いて、同じく350年という輝かしい歴史を誇るイタリア服地の名門ミル VITALE BARBERIS CANONICO(ヴィターレ バルベリス カノニコ/以下 CANONICO)とのコラボレーションによるガラディナーが行われ、光栄にもご招待いただいたのでお邪魔してきました!




まずはカクテルタイム!
すでに多くの招待客で賑わっています。
クラシック且つモダンな店内はブラックタイ(ディナースーツ=タキシード)のドレスコードに相応しいプレミアムな雰囲気。サヴィル・ロウの老舗テーラーの中でも突出した規模を誇る同店だからできるイベントと言えます。




奥にある吹き抜けの広いスペースは、なんと着席ディナー会場に様変わりしていました!
こちらは通常多くの什器が並ぶプレタポルテ(既製服)の売場なのですが、この夜の為に全て運び出した模様。CANONICOのイベントはとかくサプライズが多く、昨年の350周年記念レセプションでも直前までどこがディナー会場なのか知らされてませんでしたが、今回もまさか(150人という人数で)店内で着席ディナーをするとは思っていませんでした!




今回のガラディナーの趣旨は、最近行われたGIEVES & HAWKESのリニューアルと、ブランド同士のコラボレーションにまで高まったCANONICOとの取り組みを祝うもの。
ウインドーにはこの日の為に製作された6着のビスポークスーツがディスプレーされていました。
サヴィル・ロウのテーラーとイタリア服地メーカーのこのようなパートナーシップは今まで見たことがなく、高級スーツ業界でも国際化が進んでいることを改めて実感します。。。




スーツの説明をしているのが、この日のホストの一人 フランチェスコ・カノニコ氏。
CANONICOの13代目にあたるクリエイティブディレクターで、近年は躍進を続ける同社の顔として活躍されています。




さあ、ディナーのスタートです!
フランチェスコ氏ともう一人のホスト、GIEVES & HAWKESのチーフクリエイティブオフィサー ジェイソン・バスマジャン氏の挨拶で賑やかなディナーが始まります。




この建物の2階には多くの貴重な資料を集めたアーカイブルームなどがありますが、大半は吹き抜けになっている為これだけのスペースがあります。
この素晴らしいパーティー会場が普段はスーツ売り場とはなかなか信じられません。。。




デザートが終わる頃は知った顔同士あちこちで輪が出来会話が弾みます。
私も同行者やお知り合いのお陰ですごく愉しい時間を過ごすことができました!




11月の中旬、既に街中クリスマスデコレーションで溢れていたロンドン。
今回は短い出張でしたがハリス&ルイス島、そしてロンドンと大変充実した内容になりました!

HARRIS TWEED ISLAND -Ⅱ-

11/25/2014


前回からの続き、ハリス&ルイス島の訪問記です。
3社あるハリスツイードミルのうち最大のHARRIS TWEED HEBRIDES(ハリスツイード ヘブリディーズ)では他のミル同様に「製織」以外の工程全てを行いますが、工場内にはサンプル生地製作用の織機が2台あり日々稼働しています。

こちらはシングル巾(ウエイトの重いクオリティー)用の古い足踏み式織機。2枚のペダルを交互に踏んで動かすためかなりのスタミナがいります。




こちらは現在主流のサイクル式織機。私も体験させていただきました!
スピードを一定に保たないといけなく、それなりにコツがいります。
現在HARRIS TWEED HEBRIDESには約140人の契約ウィーバー(製織職人)がおり、実際に流通されるハリスツイードは全て職人の自宅で織り上げられます。




仕上げ工程に移動する途中、生産管理と商品開発を行う部屋にお邪魔しました。
こちらは染色の基本カラー。前回書かせていただいた通り、黒無地以外のハリスツイードは全てトップダイ(原毛染め)の繊維をミックスした糸を使う為、これらのカラーをブレンドすることで無限大の数の色糸を作ることができます。(黒無地は黒に染めた原毛をそのまま単色で使用)




こちらはパレットと呼ばれる器具(おろし金を2枚組み合わせたようなもの)を使い2色の羊毛をブレンドするところ。新色や別注色などはこうやって手作業で生み出されます。
これを指で撚ると糸になっていきます!




さて、職人の自宅での製織から戻ってきた生地はしっかりとチェックされたあと、仕上げ工程に回されます。




ウェットフィニッシングからドライフィニッシングに至る仕上げ工程はその他の英国伝統服地とそれほど変わりませんが、服地のキャラクターを左右する大切な工程なので熟練職人がよく注意しながら時間をかけて行います。




最後に4人がかりでチェック(&織り込んだ物の除去)を行い、スチームでアイロンをかけて全製造工程の終了です!




織り上がったハリスツイードはハリスツイード協会の検査員が再度全てチェックし、パスした反物のみがスタンプを押されます。これで初めて出荷が可能となります。




この後、20年間ウィーバー(製織職人)をしている方の自宅を訪ね、実際に流通するツイードの製作現場を見せていただきました。フルタイムのこの方でも1反(約65m)を織るのに1.5日かかり、1ヶ月の生産量は12反程。「ずっと漕いでて疲れませんか?」と聞くと、「この島にはマラソンとかフィットネスは必要ないんだよ!」と笑って答えてくれました。




空港への帰り道、10年前に訪れた観光施設(ウィーバー達が暮らした家々を再現した場所)を訪れました。あいにくオフシーズンで織機の実演はしていませんでしたが、10年前にお会いし織機を漕いでくれたおばちゃんと再会しました。お元気そうでなにより!
家々の裏に置かれている山はピート(泥炭)の山で、島では今でも燃料として使用されています。
スコッチなどの味にも影響を与えていると言われ、スコットランド人の生活にはかかせ欠かせない資源です。




この島に1割もあるか分からない市街地以外はこのような美しい景色で溢れています。(上写真はストーンヘンジのような古代遺跡)

10年ぶりとなった今回の訪問も日帰りの駆け足となりましたが、ハリスツイードとこの島のことを学び直す大変貴重な機会になりました。1週間続いていた雨も止み、私が訪れた日は快晴!島の神様にはこの場をお借りし感謝いたします。

この島の文化と色彩が溶け込んだ唯一無二のハリスツイード。一生もののジャケットはもうお持ちですか!?

HARRIS TWEED ISLAND -Ⅰ-

11/17/2014


ちょうど1週間前、ロンドンへの出張にからめて約10年ぶりにスコットランドのハリス&ルイス島に行ってきました。
そう、ファッション業界の皆さまや洋服好きの方はよくご存じのハリスツイードの故郷です。
非常に有名ながら地理的なこともありなかなか訪れることができないこの島の今を、これから2回に分けて大特集させていただきます!

首都グラスゴーに前泊し朝7時の便に乗り込むと、雲海の上を島のあるアウターヘブリディーズ諸島へと飛んで行きます。




50分ほどでハリス&ルイス島の中心地ストノウェーに到着。
人口約2万人のこの島唯一の飛行場は、建物も体育館ほどの大きさしかありません!




工場の方にピックアップしていただき、3つあるハリスツイードミルのうち最大のHARRIS TWEED HEBRIDES(ハリスツイード ヘブリディーズ)のあるショーボスト地区まで30分ほどのドライブ。
(日本人的な感覚で言うと)かなり田舎の駅の商店街のような懐かしい町並みを抜けると、すぐにこのような自然が広がっています!




朝焼けに照らされる車窓からの景色はこの素晴らしさ!
とあるジャーナリストの方が「ハリスツイードの多くのカラーは、この島の自然の色彩から来ている」と仰られていましたが、本当にその通りだと実感しました。。。
暖流の影響で本土同様に雪は少ない気候ですが、やはり冬の気温は寒く、吹きさらしの風もあり高い木は殆ど見られません。




景色を楽しみながら走っていると、間もなく湖の向こうに工場が見えてきました。
以前はKENNETH MACLEOD(ケネス・マクロード)社の工場だった施設を、7年前の業界再編時に同社が取得し現在も操業を続けています。
詳細は割愛させていただきますが、7年前の再編時は「ハリスツイード消滅の危機」として日本でも大きな話題になりましたが、島内外の大きな期待を受け新生HARRIS TWEED HEBRIDESが誕生しました。




まずはショールームで温かい紅茶をいただきながら打ち合わせ。
弊社はHARRIS TWEED HEBRIDESのもう一つの前身であるKENNETH MACKENZIE(ケネス マッケンジー)時代から数十年の取引があり、色々と話が尽きません。
飾ってあったこちらの生地台帳は1950年代のものだそうですが、この頃にはもう取引が始まっていたかも知れません。。。



さあ、工場見学がスタート!
屋外には大量のチェビオットウールが積まれています。

日本では一部誤解されているようですが、ハリスツイードの原毛は「100%ヴァージンウールでなくてはならない」とのみ規定されており、必ずしもこの島やスコットランド産である必要はないそうです。(この島で多く飼育されているブラックフェイス種は、繊維が粗野なためハリスツイードには向きません)
ただ、今までは全てスコットランド産でまかなえており、他所のウールを使用したことはないとの事。




ハリスツイードの製造工程は、まず原毛の染色から始まります。
黒無地以外の色柄は全て多色の毛を混ぜた糸を使う為、様々な色へと染められていきます。


 

床面に開けられた穴は繊維をミックスする機械に繋がっていて、様々なカラーに染められた羊毛をダイナミックに落としていきます。一本の糸に多くのカラーが使われていることがよく分かります。



さて、いよいよ紡績(糸作り)です!
フランネルなど、その他の紡毛素材と同じようにカーディングと呼ばれる工程で繊維が揃えられ糸に近い状態まで持っていきます。




そしてしっかりと撚られることでいよいよ糸の完成です。

ここで一つ申し上げたいのですが、よく日本で「ハリスツイードは手紡ぎ、手織りの伝統素材」と謳われますが、(人力織機で織られる工程は広義で手織りとしても)近代のハリスツイードの糸は全て機械で紡績されています。特にファッション・出版業界の方にはここは是非ご注意いただきたいところです。





ワーピングと呼ばれるこの工程で経糸(縦糸)が揃えられ、製織の準備が整います。
下写真の大きな糸巻きの状態でウィーバー(製織職人)の自宅に送られます。

そう、ハリスツイードの製造工程のなかで、唯一製織のみが外部の職人によって(そして人力で)行われるのです。




外部のウィーバーを訪れた模様は次回ご紹介させていただきますが、工場内部にもサンプル生地作成用に新旧2台の織機があります。そのうちの1台を実際に体験させていただきました!
そちらも次回。。。