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SUNNY BANK MILLS

5/02/2014


前回の出張の番外編です。
写真中央の貯水池の左から下にかけて広がる工場と建物群、そして豊かに茂る森を含むこの商工業団地はSUNNY BANK MILLS(サニーバンクミルズ)と呼ばれ、イングランド北部ヨークシャーの大都市リーズの近郊にあります。
実はこの場所はオーダー業界、そして英国服地ファンの皆様には馴染みのある場所でした。




その起源を1829年にまで遡るこちらのSUNNY BANK MILLSを、4代に亘り所有してきたのが隣町ハロゲートの名家でゴント家。
ご存知の方も多いかも知れませんが、このゴント家が高級服地メーカーEDWIN WOODHOUSE(エドウィン・ウッドハウス)を2008年まで所有し、生産はこのSUNNY BANK MILLSの中で行われていました。(広大な敷地と建物群のため、一部は工場・オフィス、そしてTVスタジオとして貸し出されていました)
産業革命で栄えたイングランド北部には、このような商工業団地が今も多く残っています。
服地製造事業はハダスフィールドの大手グループに売却され、現在のEDWIN WOODHOUSEブランド服地の生産は同グループの傘下にある高級工場TAYLOR&LODGE(テイラー&ロッヂ)で行われています。
そしてこのSUNNY BANK MILLSは現在ゴント家による不動産賃貸事業として株式会社化され、同社で使用する建物以外を大規模に改修し主にオフィスとして貸し出しています。

こちらは以前のEDWIN WOODHOUSE本社内のボードルーム(取締役用ミーティングルーム)。
現当主で従兄弟同士のWilliamとJohn、そしてその父であるMartinとDavidとこの部屋でよく商談やランチをしたものでした。




モダンアートが並ぶこちらの直営サロンは、もともと生地の倉庫だった場所。
現在は展示会スペースをとして貸し出されています。


 
 

伝統を重んずることで知られる英国とはいえ都市部では近代的なビルが増えていますが、SUNNY BANK MILLSのウリはやはりビクトリア様式の重厚な建物と、服地ミルとして180年使用された素晴らしい歴史。このように充実した資料室も整備されています。
この場所には以前多くの織機が並んでいました。
ゴント家が服地生産事業から離れてしまったのは大変残念でしたが、こうやって新たなフィールドで頑張っているウィリアムとジョンを心から応援しています。




少し古い(2007年)写真ですが、ジョンの結婚式に招いてもらった時のもの。その3年前の私の結婚式にも来てくれました。
私の一つ下と歳の近いジョンとは特に親しい付き合いを続けてきましたが、小学5年の春休みにホームステーでゴント家に滞在した以来の長い付き合いでもあります。
今でも出張の合間に食事に行き近況を話しあったりしていますが、かつてのように頻繁にあえないのは少し寂しかったり。

建物と違い人やその営みは少しずつ変化していきますが、そこに宿る豊かで温かい記憶はかけがえのない財産であることを実感します。。。